1.ダイヤモンドカラー評価の基本

ダイヤモンドの品質評価は一般に「4C」と呼ばれる4つの要素によって決定される。
4Cとは、Carat(重量)、Clarity(透明度)、Cut(カット)、そしてColor(カラー)である。

日本の業界で使われているGIAダイヤモンドグレーディングシステムは1950年代初めにGIA(Gemological Institute of America)(米国宝石学会)により開発されたものです。このシステムは国際標準(DeFacto Standard)として広く世界で採用されている。

このうちカラーグレードは、ダイヤモンドがどの程度無色に近いか、あるいはわずかな黄色味を持つかを評価するものである。

このシステムでは、ダイヤモンドのカラーはD、E、F、G、H、I、K ~ Zというアルファベットによって表される。
Dが最も無色に近く、アルファベットが進むにつれて黄色味が増していく。

ダイヤモンドのカラーグレードは、一般にDからZまでのアルファベットで表されます。
これらは色の特徴によって、次のように分類されます。

カラーグレード分類説明
D–F無色(Colorless)ほとんど色を感じない
G–Jほぼ無色(Near Colorless)わずかに色味が感じられることがある
K–Mわずかな黄色(Faint)黄色味がわずかに確認できる
N–R非常に薄い黄色(Very Light)黄色味がはっきり見え始める

しかし、これらのカラーの違いは非常に微妙であり、人間の記憶だけで正確に判断することは困難で  ある。そのため、カラー判定には基準となるダイヤモンド(マスターストーン)が必要となります。

2.マスターストーンとは

ダイヤモンドのカラー判定の基準として使用されるダイヤモンドをマスターストーン(Master Stones)という。マスターストーンとは、すでに正確なカラーグレードが決定されているダイヤモンドであり、カラーグレーディングの際に比較の基準として使用される。

人間は色を正確に記憶する能力があまり高くない。
例えば、服の色や塗料の色を記憶だけで再現しようとすると、「思っていた色と違った」という経験をすることがある。これは視覚記憶の限界によるものである。

ダイヤモンドのカラーグレーディングでは、この問題を避けるために既知のカラーを持つダイヤモンドと比較する方法が採用されている。その基準石がマスターストーンである。

3.マスターストーンの条件

マスターストーンとして使用されるダイヤモンドは、厳しい条件を満たす必要がある。一般的には以下の要素が考慮される。

・サイズ、数
・蛍光性(Fluorescence)
・インクルージョン(内包物)
・プロポーション(カットのバランス)
・色の均一性

また、これらのダイヤモンドは米国のGIAの本部ラボで正式にカラーグレードが決定されたものが用いられる。

マスターストーンを揃えるためには、多数のダイヤモンドを米国GIAの本部ラボへ送り、その中から基準石として適切なものを選定する必要がある。そのため、マスターストーンセットを作ることは容易ではなく、時間とコストを要する作業となる。

4.カラーグレードは「幅」である

ダイヤモンドのカラーグレードは、一般にアルファベットの1文字で表されるが、実際には一定の範囲(レンジ)を持つ概念である。

例えば「Fカラー」と呼ばれるダイヤモンドにも、
Eに近いF(X1) 
中央のF(X2)
Gに近いF(X3)
といった微妙な差が存在する。(図1参照)

図1

しかしダイヤモンド鑑定書(グレーディングレポート)では、これらはすべて「F」と表示され、その範囲内のどの位置にあるかまでは示されない。

そのため、マスターストーンとして選ばれるダイヤモンドは、そのグレードの中でも代表的な位置にあるダイヤモンドが選ばれることが多い。
Fマスターの場合、一般にX1とX2が選ばれる。

5.カラーグレーディングの方法

カラーグレーディングは、マスターストーンと比較しながら行う。
一般的な手順は次のとおりである。

1.既知のカラーを持つマスターストーンを並べる
2.評価するダイヤモンドをその間に置く
3.色の差を観察して最も近いグレードを判断する

マスターストーン

このとき、ダイヤモンドは通常、テーブルを下にしてパビリオン側から観察する(facedown)。これはダイヤモンドの輝きがカラー判定に影響するのを防ぐためである。

D・E・F・Gなどのカラーグレードは大きく異なるように感じられるが、実際には非常に微妙な色差によって区別されている。そのため、グレーディングには慎重な比較観察が必要となる。

6.カラーグレーディングの環境

正確なカラー判定には、観察環境が極めて重要である。特に重要なのは以下の2点である。

・背景色
・光源

伝統的には、宝石業界では「晴れた日の午前中、北向きの窓から入る自然光」が理想的な光源とされてきた。
しかし自然光は時間や天候によって変化するため、現在では標準化された人工光源が使用されることが多い。

代表的な装置としては↓

GIA DiamondDock
ダイヤモンドドック

GIA DiamondLite
ダイヤモンドライト

などがあり、これらはカラーグレーディングに適した光環境を安定して再現するために開発されたものである。

7.マスターアイ・エフェクト

カラー比較を行う際には、マスターアイ・エフェクト(Master Eye Effect)にも注意が必要である。

マスターアイとは、人が持つ利き目(優位眼)のことを指す。
多くの場合は右目が優位であるが、個人差がある。

ダイヤモンドを左右に並べて比較する場合、どちらの目で観察するかによって色の見え方がわずかに変わることがある。

そのため、正確なカラー判定を行うためには

・自分の利き目を把握する
・同じ観察条件で比較する

といった点に注意することが重要である。

まとめ

ダイヤモンドのカラーグレーディングは、非常に微妙な色差を判断する作業である。そのため、正確な評価を行うためには、

・マスターストーンによる比較
・適切な光源環境
・観察方法の統一

などが不可欠となる。

言葉や写真だけでは理解しにくい分野であるが、実際にマスターストーンとダイヤモンドを並べて観察することで、カラーの微妙な違いを理解することができる。

当研究所開催のダイヤモンド実技クラスでは実際にダイヤモンドを手に取りマスターストーンを使いカラーを評価することができます。海外で安価で売られている「キュービック ジルコニア(CZ)製のマスターストーン」も見ることができる。「百聞はで一見に如(し)かず」です。

尚、この対象は一般的なダイヤモンドの色、いわゆるイエローブラウン、グレーの色が対象です。それ以外の色はファンシーカラーダイヤモンドとして異なった色の表現方法を使う。また通常の色の場合、Zカラーを超えるとファンシーという言葉を使う。